ドラマは高視聴率のまま終了。
女優としてステップアップした唯から電話が掛かって来たのは、それから1ヶ月程 経った頃である。
「伝えたいことがあるの」
いつになく真剣な声であった。
仕事があるため、ロケ現場近くの喫茶店で会うことにする。

「あっちゃん、お待たせ」
唯はあつしの前に座るとミルクティーを注文した。
「あっちゃん、アメリカに行くことになったの」
演技の勉強のため、1年間アメリカに行くという。
初ドラマでの演技が認められ、事務所が女優として本格的に売り出すことにしたのだという。
あつし は唯の話を聞いた。

あつしの離れるのが寂しいこと。
アメリカで1人の生活が心配なこと。
女優としてやっていけるかということ。

「唯ならできるよ。がんばれ」

あつしも寂しいのは同じである。
しかし、唯のことを思い、励ます言葉をかけた。