プレハブの中はただのプレハブでしかなく、一部屋しかない部室程度の大きさだった。
だから、その中で迷うなどということはなく、綺羅と真里はただドアを開けて周りを伺うだけですんだ。
隠そうともしない霊気。
そこには綺羅たちに対する敵意が嫌というほど伝わってくる。
「おいっ、見ろ。あそこ」
顎でクイッと綺羅は霊気が集中する場所をさした。
「う、うん………」
真里が頷きながらゴクッと唾を飲み込んだ音さえも聞こえてきた。
真里の極度の緊張が綺羅にも伝わってきて綺羅は真里に問いかける。
「大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫。こういうのは何度も見たことはあるから」
「そうか。それなら…」
「でもね………、そういう時はいつも深青ちゃんが一緒だったから」
不安げに付け足してきた真里の言葉に綺羅は固まる。
それって、いつもはこういう時は深青が対処してたからってことか?
不安だが、考えてみ仕方がない。すでに入り込んでしまったんだ。
戦うしかもうない。
ここで逃げても明日にはここはとんでもないことになっているはずだ。
「と、とにかく奴が攻撃してきたら防御しろっ。やり方はわかってるんだろ?」
「う、うん」
コクコクと頷く真里を見ながら、綺羅はニッと笑った。


