そこまで言われてから、綺羅は「そうか…?」と結界へと意識を傾けた。
それほど、気になる違和感とかなかったけど………。
「綺羅くんってすごい霊力強いんじゃない?」
「そうか? そんなことはないと思うけど………」
第一、それほど強い霊力を持っていたら、自分で退治とかできていると思うし………。
「ううん、すごいよ~…」
「そんなことはどうでもいいから、お前も早く入って来いよ。こんなところでちょろちょろしてて下手に刺激する前にさっさと終わらせたほうがいいだろうからさ」
「あっ、そうだね」
へへへ…と軽く笑いながら、真里は自分が張った結界を難なく潜り抜けた。
それにしても………、こんなに巨大な霊力を持った相手に今から立ち向かうっていうのに、どうしてこいつはこうも緊張感がないんだ?
いや、深青もこんな感じだった気がするな。
あいつの場合はのほほ~んとしてて、やるときはやってたけど。
こいつ、大丈夫かな?
何もないところで、躓きかけた真里を見ながら綺羅は一抹の不安を覚えた。


