「あ~…、だけど、あの麻生くんだよ~。難攻不落の。どうしたものかな~……」


「だから、そんなんじゃ全然ないから。ただ、あまりにも話してくれないから、ちょっと気になっただけなんだって。だって、今はあんな風に話しているし………」


チラリと視線を向ける礼香の後を追って、彼女たちも視線を向ける。


「あ~…、彼女は例外。相良さんは知らないけど、河原さんは麻生くんとは幼馴染だから。あっ、ちなみに髪がふわっとしているボブの子のほうね」


礼香は教えてもらった髪がボブの女の子のほうを見た。







 ただの幼馴染。


そう聞いていても、自分に見せる顔とは全く違う表情を見せている綺羅のことを見ていると礼香には二人の関係が教えてもらったとおりのただの幼馴染という関係ではないように見えた。







 「それにしても、麻生くんは手強いよ~…。宮城さんがね、引っ越してくる前に、たぶん麻生くんにとって初めての彼女ができたのよ。それも、超美人の」


「そうそう。あの時はショックだったな~…」


「うん、あたしも。麻生くんに気が合った女の子はみんなショック受けてたんじゃない?」


口々に話しだす、綺羅の話に礼香はそれまで真里に向けていた視線をこちらに戻す。


「それで、麻生くんとその人はどうなったの?」


綺羅のことなど、恋愛感情で見ていないと言っていたものの、礼香はつい口に出して聞いてしまった。


言ってしまってから、『しまった!』とは思うものの、どうやら、みんなはそんな些細なことなど気にしていなかったようだ。