「綺羅、綺羅。聞いてくれよ、聞いてくれよ」







 うれしそうにうきうきする柏葉。


その姿は正しく、ご主人様に尻尾を振っている犬のようだ。


そんな柏葉に、綺羅は机に頬杖をつきながら、冷たい視線を向けた。


「いや」


「え~っ!? なんだよ、即答で否定?」


「お前の大ニュースっていつもどうでもいい話ばかりじゃないか。この暑いのに、無駄な体力を使いたくない」


ここで言う綺羅の無駄な体力というのは、結局話を聞いたところでどうでもいい話だったので怒らなくてはいけない体力という意味である。


そんな冷めた綺羅の態度にも柏葉はめげない。


「今回は本当に大ニュースなんだって! 本当に本当!」







 お前は女子高生かっ!







 目をキラキラさせて前のめりに近づいてくる柏葉に綺羅は顔を引きつらせた。


そして、盛大にため息を吐いてから綺羅は頬杖をついていないほうの手を軽く振った。


「そんなに言うなら聞くよ。で?」


柏葉のあまりの熱意に綺羅は諦めた。







 どうせ、聞いたところでどうでもいい話だろうけど。