その言葉を聞いた理佐子はホッとした表情を浮かべ、綺羅から離れ走り出す。


そして、振り返るとはにかみながら手を振った。


「じゃあ、私。先に行っているからね」


そんな理佐子に綺羅もまた手を振り返す。





あんなことがあったのに、こんな風に明るく自分に対応してくれる。


その気持ちが綺羅はうれしく思うと同時に複雑な心境になる。







 本当は、もっとはっきりと断って意思表示したほうがいいのではないか。





そうは思いながらも、これ以上理佐子を傷つけることが躊躇われる。





ただ思うこと。


それは、今度こそ、理佐子と付き合うときは本当に彼女を好きになった時にしようということ。













 自分の軽い気持ちで人を傷つけ、そのことで自分の中での深青への存在の大きさを思い知った綺羅。







 綺羅は戻ってきたペンダントをきつく握りしめる。







 ―――――会いたい…








 無性に込み上げてくる気持ちを落ち着けるために綺羅はどこまでも澄んだ青い空を見上げた。