「サンキュ、海堂」


「いや。全くたいした情報にはならなかったけど………」


「そんなことない。

ほんの少しの情報でもいいんだ。

深青がその場に存在しているのだというそのことさえわかれば………」


「麻生………」





 欲を出せば、今すぐにでも深青に会いたい。


 だけど、なんとなくそれはダメな気がしてならないんだ。


 俺が深青と会った、その瞬間に何かよくないことが起こりそうな気がして。


「これから先も、何かわかったら報告するな」





 前までは話そうともしなかった真之。


 自分のことは隠し、だけど、綺羅からの情報は欲しがる。


 それが、なぜこうも協力的になったのだろう?


 それが、綺羅には不思議でならなかった。


「………お前、何か企んでたりしないよな?」


「企むって、何をだ?」





 鋭い眼差しで綺羅を見る真之。


 さっきまでの友好的な雰囲気は一瞬にして変わる。


「さあな。ただ、急に協力的になったから」


「まあな……。

ただ、俺は知りたいだけだ。

組織の中で何者かが俺たちには知らないところで何かをしている。

俺はそれが知りたい。

ただ、それだけだ」


「だから、俺に情報を教えてくれるのか?」


「ああ。

その知らない何かの中に、

お前が言っている如月深青が深く関わっているのは間違いないからな。

俺は如月家のことを調べていくつもりだ。

だから、お前に情報をくれてやった」





 つまり、それは………