「海堂。

詳しく、話を聞かせてくれ。

たとえ、どんなことでも……」


「知りたいんだろ? 

それはわかっている。

だからこうして機会を作ったんじゃないか」


「そう……だったな………」





 わかりきっていたことを………。


 綺羅は自虐的に笑う。


「実は、あの時内藤が使役していたと思われる妖魔。

俺たちが何度となく苦戦した」


「ああ………」





 綺羅の脳裏には、何度も危険な目にあわされたあのトカゲに似た化け物の姿が思い浮かんだ。


「あれは、内藤が使役したものじゃなかった」


「え? 

それは、一体どういうことなんだ?」





 内藤が使役したものじゃない………。


 じゃあ、一体誰が?


「約一年前、

同じように一介の教師が起こした事件が発生した。

その教師は自分に好意を寄せている女生徒を使い、

学校内でさまざまな不可思議な事件を起こす」


「それが?」


「その時、男性教師はある人物から、

自分のために役立つ妖魔を買っていた」


「………妖魔を……買う…?」





 そんなことができるのか?


 普通に考えれば信じられないこと。


 異能の力を持つ妖魔はこの現代にはその存在自体が一般人には受け入れられていない。


 それが、売買されている?


 そんなことは綺羅には想像がつかなかった。


 何かの間違いだとしか考えられなかった。