そんな慈の言葉に誰も何も言わなかったが、全員、慈と同じ思いだった。





 事件を企てた内藤たち。


 その二人が罪を償うことも裁かれることも、それは当然のことだと綺羅も思う。


 だけど、そこまで彼らを駆り立てたのは、和田あゆみの陰湿ないじめ。


 それなのに、いじめを行っていた和田あゆみは罰せられず、何事もないように日常の生活へと帰っていく。


 仕方ないことだとは思いながらも、なんとなく納得できなかった。





 暗い表情で沈み込む四人。


 長い沈黙が四人の間を通り過ぎていった。











 コンコン。











 扉を叩く音に、四人は顔を上げる。


「みんな、暗い顔してるね~…」





 扉の後ろからぴょこんと顔を出したのは礼香だった。


 その後ろに真之が続いた。





 二人の顔を見た瞬間、慈は不機嫌を隠そうともせずに、「当たり前でしょ」とフンと顔を逸らした。


「まあね~…。

和田あゆみのことでしょ?」





 苦笑しながらも、礼香はゆっくりと部屋の中へと入ってくると空いた椅子に座る。


 後ろにいた真之は部屋の中に入るものの、近くに壁に腕を組んだ状態でもたれかかった。


「わかってるなら! 

どうにかならないの? 

なんか、納得できないのよ! 

そもそも私たちには詳しい事件の経緯とかは知らされないし」





 慈のイライラはそのことも大きく加味されていたようだ。