自分の震える手を見つめながら、綺羅はただ怖くて仕方がなかった。


 そんな綺羅の頭に軽く手を乗せる深青の父である道隆(みちたか)。


「怖いかい?」





 何気なく聞きながら、道隆は綺羅の隣へと座る。


「おじさんは、僕のこの力を見ても怖くないの?」





 こんな力を見せてしまって、おじさんにまで嫌われるかもしれない。


 幼い綺羅の心にはそんな不安が渦巻いていた。


 妙な力を持つ自分を何も言わずに受け入れてくれた場所。


 それなのに、この場所さえも失ってしまうんじゃないか。


 そんな気持ちでいっぱいだった。


 だけど、綺羅の不安を一蹴するような笑みを道隆は綺羅に向ける。





「怖くないよ」





 はっきりと、即答する道隆。


 そんな道隆を綺羅はまっすぐ見つめた。


「………本当に?」


「ああ」


「どうして?」





 綺羅に聞かれ、道隆は遠い目をしながら空を見上げた。