「ここで、こいつが全部の罪を引き受けて、

何も言わずに死んでいってくれたら、

お前は助かるもんな」


「そんなこと………!」


「考えていないって言うのか? 

それなら、少しでもこいつのことを助けようという気になれ! 

こいつの死を、

仕方ないと受け入れるな!」





 それでも、詠美は弱弱しく頭を振った。


「だって………。

無理だもの。

明彦を助けるなんて、無理だもの! 

この状態の明彦をどう助ける気? 

この力を抑えるのは明彦の意思でないと無理だもの!」


「たとえ、そうだとしても、

俺は諦めない。

ぎりぎりまで方法を探し出す。

だから、お前が知っている全てを話せ」





 それが、もし、自分の力でなんとかできるものなら、俺はこの力を使う。





 綺羅はギュッと自分の手を強く握りしめた。





 綺羅の言葉に感化されたのか、詠美はゆっくりと綺羅のことを見てきた。


「……明彦は…助け…られる? 

少しでも……、

助けられる確率…は、

ある…?」





 不安げでありながらも、微かな希望を含ませた瞳で見てくる詠美に綺羅は力強く答えた。


「絶対にとは言い切れない。

だけど、もしかしたらという確率は残っている」


「……本当に?」


「ああ」