全員が部屋の外に出て行く足音を聞いた後、綺羅はまっすぐに内藤を見る。


 そして、その向こう側で力が抜けたようにへたり込む山口詠美へと視線をずらした。


「山口。こいつは今から何をしようとしているんだ?」





 詠美は力なく綺羅を見、一度は口を開こうとしたものの、ギュッと唇を噛み締める。


 それは、自分のためにしてくれようとしている内藤のために口を閉ざそうとしているように綺羅には見えた。


「山口。お前は、こいつに死んで欲しいのか?」


「…そ、そんなわけないじゃない!」





 唇を噛み締めていた詠美は綺羅の言葉に、即座に反論してきた。


「じゃあ、話せ。

でないと、こいつは本当に死ぬぞ。

それを一番わかってるのはお前なんだろ!」





 ハッと目を見開いた詠美。


 そんな詠美を綺羅はジッと見つめる。


 何も言わずに。


 だけど、詠美は首を横に振った。


「このまま、

もし、ここで明彦を助けても、

明彦は犯人として捕まる。

それならば、ここで明彦を死なせてあげたほうが………」





 涙を流し、そう答える詠美に綺羅は冷たい視線を向けた。


「それは、

お前のためか?」


「・・・・・え?」