お互いににらみ合う硬直状態の中、綺羅は口を開いた。
「音楽準備室………」
ただ、単に教室名を言っただけ、
だけど、明らかに動揺した表情を顔に貼り付けた内藤。
どうやら、当たりのようだな。
綺羅はニッと笑みを浮かべる。
「音楽準備室~?」
意味がわからない慈は怪訝な顔をしながら、そっと準備室を覗くように視線を向ける。
それに慌てたのか、準備室で突然ガシャーンと大きな物音がした。
「……え? 今のって………」
慈が呆然としている間にも、すばやく礼香が準備室へと近づく。
それを見た内藤は阻止するために準備室へと続く扉の前へと移動した。
それこそが、綺羅にとっての狙いだった。
何かを言うこともなく、内藤が吉備から離れた瞬間、真之が吉備へと走りよる。
そして、担ぎ上げると雅俊の元へと連れて行った。
そのことに内藤が気づいたのは、すでに吉備が綺羅たちの傍へと連れて行かれた後だった。
「貴様ら、謀ったな………」
悔しげに顔を歪める内藤に綺羅は、はっきりと言い放つ。
「何を今更。
謀ったなって、そんなの当たり前だろ。
俺たちは、光浦を助けに来たんだからな。
それを最優先に考えるのは当たり前のことだろ」
「くっ………」


