「お前はわからないかもしれないけど、
吉備はそういう奴だよ。
昔から、そういう奴だった」
苦しそうに、切なそうに言葉を吐く雅俊。
その言葉を聞きながら、真之と礼香は神妙な表情をする。
そんな二人の顔を見てから、綺羅は雅俊の言葉をじっと聞いていた。
本当に、内藤一人だけしかここにいないのか?
山口詠美は?
あの時の一瞬の表情を見る限りでは彼女もなんらかの形でこの事件に関わっているに違いない。
だけど、主な実行犯は内藤一人だけなのか?
めまぐるしく頭を回転させる綺羅。
だけど、すぐにでも吉備を救い出したい思いがあるものの、あんなに至近距離に内藤がいると、手足も出すことができない。
どうにか、内藤を吉備から引き離したい。
綺羅は切実にそう思った。
その時―――――
一瞬だけ目の端に入った光。
何かに反射してできた光。
だけど、その光が一瞬でも光ったということは、そこに何かしらの動くものが存在したということ。
綺羅は一か八かの賭けに出ることにした。


