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「つまり、なんだ?
その如月深青という人物は
父親が死んだと同時に行方をくらませたということか?」
真之の問いに綺羅は軽く首を横に振った。
「いや。
そんな世間体から消えたみたいな
それほど大げさなことではないとは思う。
だけど、誰にも何も言わずに、
おじさんが亡くなってすぐに深青たち一家はあの地を去った。
それはあまりにも突然のことだったみたいで」
「でも、それなら納得できるわよ。
あの資料の改ざん。
もしかしたら、その如月家の存在を隠そうとした誰かが資料を改ざんしたか、
わざともみ消しているのかも」
「それは…一理有り得るな」
礼香の言葉に真之は深く頷いた。
「あれだけの力の持ち主だ。
データから漏れるなんてことはないはずだ。
となると、なんらかの目的があって、
故意にデータを改ざんしたとしか思えない」
「じゃあ、やはり、深青たちは誰かに狙われているのか………」
暗い考えが綺羅の脳裏に浮かんだ。
まるで夜逃げのようだと思った。
そんな言葉が一番のような。あの神社は如月家が代々守り続けていた。
だから、いずれは深青は自分が後を継ぐのだと言っていた。
それなのに、
その如月神社を捨ててまで逃げなくてはいけない事態が、
俺の知らない間に深青の身に起きていたのか。


