そうは言われても、綺羅たちにはすんなりと受け入れられなかった。
もしそうだとしても、なぜそれが旧校舎を忘れさすことができるのか。
そんな術なんて聞いたことも見たこともない。
「お前たちが納得いかないのはわかるさ。俺だって、今まで何度も妙な体験や事件には遭遇している。その中でもこんな術を使うなんて聞いたこともない。だけど、旧校舎は隠されていた。そこを調べるしかないだろ。なぜ、このようなことが起こったのかは、本人に問いただすしかないだろう」
真之の言うことはもっともで、綺羅は深く頷いた。
旧校舎は今では使われておらず、近いうちに取り壊しが決まっていた。
そのため、周りには立ち入り禁止のフェンスが立てられている。
その一つを強引に横へとずらして、綺羅たちは中へと入っていった。
「うわぁ~…、見るからに気持ち悪い………」
ぼうぼうに生えている草を見て、真里は眉を寄せた。
その中にうっすらと月明かりを受けて微かに浮かび上がる黒ずんだ建物。
見るからに、何もないとは思えない。
その時、今まで大人しく綺羅の肩に乗っていた初が突然、飛び立つ。
小さな羽根を懸命に羽ばたかせ、初はいきなり鳴き始めた。


