綺羅は先ほどのことを思い返す。
確かに、慈が文句を言うのもわかる気がした。
慈の性格からしたら、一番の決め所を横取りされて、腸が煮えくり返っているに違いない。
そう感じた綺羅は、慈に先を話すことを勧めた。
「本当!? 麻生くん」
「ああ。初めから、お前の話を聞いていたわけだしな。ただし、回りくどい言い方はやめろよな。さっさと大事なことを話せよ」
「うっ………。それはわかってる」
それでも、まだもったいぶった言い方をしようと思っていたらしい慈は渋い表情をする。
だが、綺羅に言われてしまったのだ。
同じ内容を知っている礼香たちの存在が、下手なことをできないと慈にプレッシャーを与えた。
「内藤明彦(ないとうあきひこ)。彼には昔から変な噂が絶えなかったみたい。それもあって、いじめに発展しちゃったみたいなんだけど」
「噂って………。能力関係のことか?」
「ご名答。そうよ。麻生くんの言うとおり」
能力を持つことで、奇異な目で見られるということは能力者でないとわからない。
綺羅も真里も同じような経験を持っている。
綺羅は同じような境遇を持っていた内藤に同情する。


