礼香の言い分は尤もだった。


 真之とて、『みお』という人物をそのまま知らないままで終わらずつもりなんてない。


「だけど、データがない今、俺たちが『みお』という人物に近づけるのは麻生しかいない。わからないままのデータに頼ることができないのなら、麻生の過去を調べるしかないだろう。麻生とその『みお』という人物に接点があるのなら、いずれ見えてくるだろうし」


「ああっ! さすが、真之! あったま、いい!」





 いつにも増して、『みお』という人物に興味を示す礼香。


 そこには私情が深く絡んでいるように真之には見えて仕方がなかった。





 でも、まあ、いいか。


 俺もどんな人物か知りたいしな………。


 データにないことからも、訳有りなのは確実だし。





 鼻の付け根をクイッと摘みながら、椅子に凭れる真之。


「あっ!!」





 一瞬、気を緩めた真之は礼香の突然の大声に勢いよく体を起こした。


「なんだよ」


「ちょっと、真之見て。あたしたち、見落としてたけど、この名前って確か………」





 画面を指差した状態で礼香は真之は見る。真之もまた礼香が指す画面を凝視した。


 そこには、自分たちが見落としていた、知っている名前が存在していた。


 そして、その隣に書かれている学校名には確かに『私立青涼学園高等部』と書かれていた。