戸惑いの色を乗せた礼香の声。


 だけど、真之はその先を続ける。


「麻生たちが知っている『みお』という人物。その人物を隠そうとしている誰かがこのデータに細工をして」


「ちょっ、ちょっと待ってよ、真之。それじゃ、何? 組織の中に、誰か裏切り者がいるってこと?」


「いや。データを改ざんしたからといって、即裏切り者と決めつけるのは早すぎる。もしかしたら、何らかの意図を持ってして載せていないということもあるしな」


「なによ、それ。言っている意味がわからない!」





 頭を抱えて、左右に軽く振る礼香。


 だけど、真之はそんな礼香には目もくれずにパソコンの画面に視線を向けたままだった。


「誰かが裏切っているか、故意にデータを改ざんしたのかそれは憶測でしかないということだ。俺たちは『みお』という存在がはっきりいるのかどうかもわからないしな。どんな人物かも」


「………うん。でも、あれほどの力を持つ式を操る人なんだよ? むやみに知らないふりをしてていいの?」