「馬鹿か。あのな、言葉の捉え方ってのは人それぞれだ。俺たちは光浦は犯人じゃないかもしれないという一縷の望みというものがあったから、そういう考えにも行き着いた。だけど、すでに光浦が犯人だと決めつけているあいつらには、行方不明になっているということさえも犯人である証拠の一つになるんだよ」


「それって………、行方不明ということも悪い印象をあたえるってこと?」


「ああ。犯人だからこそ、行方不明になってるんじゃないかってな」





 そこまで綺羅に言われ、雅俊は神妙な顔で黙り込んだ。


 明らかに落ち込む雅俊を見て、綺羅は雅俊の肩をポンと叩く。


「だから、俺たちが光浦を助けるしかないだろ? 海堂たちよりも早くに光浦たちを見つけ出す。それと同時に真犯人がいるのなら、そっちも捜さないとな」


「綺羅………」





 感動のあまり瞳をうるうるとさせながら、雅俊は綺羅を見る。


 そんな雅俊の眼差しに気づくと綺羅は恥ずかしさもあり、慌てて雅俊の肩に置いた手を放した。


「とにかくっ、捜すしかないんだからな」


「綺羅~~~っ!」





 進行方向へと向き直った綺羅は突然、雅俊に後ろから抱きつかれる。


「なっ! お前、気持ち悪いだろっ!」


「やっぱり、お前はいい奴だよ。俺、お前の友達ですっげぇうれしい………」





 恥ずかしげもなく、よくそんなことが言えるもんだ。





 自分の思ったことを素直に言える雅俊に呆れながらも、綺羅は優しく微笑んだ。