「事件に巻き込まれた……って………」
言葉を繰り返しながら、吉備の母はその場にしゃがみ込んだ。
そして、肩を震わせる。
「おばさん………」
そんな光浦の母に雅俊は駆け寄り、そっと肩に手を置いた。
ゆっくりと、雅俊は吉備の母を立ち上がらせると、ソファへと連れてきて座らせる。
「ありがとう………。雅俊くん………」
吉備の母は雅俊に礼を言ってから、ゆっくりと綺羅へと視線を向ける。
そして、寂しく微笑んだ。
「あなたたちは、吉備……、あの子のことを信じてくれるのね………?」
その言葉の意味がわからず、綺羅は怪訝に眉を顰める。
同じく、雅俊もまた眉を寄せながら、吉備の母にその意味を聞く。
「おばさん。それって、一体どういうこと?」
吉備の母は自分の気持ちを落ち着けるためか、小さく頷いてから話し出した。
「あなたたちがここに来る少し前に、青涼の生徒さんがここに来たの」
「青涼の?」
雅俊は聞き返しながらも、綺羅のほうを見る。
「ええ。男の子と女の子。その子たちにも同じ質問をされたの。吉備はここ数日帰ってきていないんじゃないかって」
男女の二人組み。
そして、そんな質問をしてくるとしたら………。


