綺羅たちは誘われるままにリビングへと足を入れた。
「ちょっと、その辺に座ってて。今、お茶でも淹れるから」
「いえ。お構いなく。用が済んだらすぐに帰りますので」
キッチンへと入っていこうとする吉備の母に綺羅は断りを入れる。
それでも、吉備の母はお茶を淹れる準備をしていた。
対面式のキッチンだから、その姿はよく見える。
綺羅は単刀直入に本題へと入った。
「あの、吉備くんは?」
綺羅が質問した瞬間、ガチャンという音と共にそれまで優雅に動いていた手が止まる。
「き、吉備は………、ちょっと、今、いないの………」
「まだ、学校から帰ってきていないということですか?」
「そ、そうね………」
なんとかお茶を淹れようとするものの、その手が震えていることに綺羅は気づいていた。
「おばさん。正直に話してください。吉備くんは、もしかしたらこの数日帰ってきていないんじゃないですか?」
綺羅のその言葉に目を見開く吉備の母。
そして、今までリビングのソファに座ってこちらを見ていた雅俊は驚きのあまり、立ち上がった。
「え・・・・・? 綺羅、それはどういう………」
「これは俺の勘だけで、証拠なんて何一つない。だけど、もし、光浦がここ数日返ってきていないのなら、もしかしたら、光浦も事件に巻き込まれているのかもしれない」
その綺羅の言葉に吉備の母はピクリと反応する。


