「いきなりどうしたんだよ。インターフォンならさっきも押しただろ?」
「一回だけだろ? もしかしたら、居留守を使ったのかもしれない」
「はあ? なんで、そんなことしなくちゃいけないんだよ」
理由を聞いて納得するまでは、邪魔してきそうな雅俊に綺羅はハァとイライラしながら息を吐いた。
「何も行方不明になったのは和田あゆみだけじゃないかもしれないってことだよ」
「・・・・・え?」
それだけ言うと、綺羅は邪魔をしていた雅俊の腕を退けて、門をガチャガチャと開けようとする。
綺羅の言葉に放心していた雅俊はガチャガチャという音にハッとすると、慌てて綺羅を止めに入った。
「おいっ、綺羅。それはまずいって。不法侵入になるって」
雅俊にそう言われると、綺羅は行動を止めた。
軽く舌打ちをすると、綺羅はくるりと向きを変えて光浦家から遠ざかろうとする。
「ちょっと、待てよ。綺羅。一体どうしたっていうんだよ」
綺羅の後を追いかけるようについてきた雅俊に振り返った瞬間、綺羅は足を止めた。
見つめる視線の先には、四十代半ばになるかと思われる女性がこちらを窺うように立っていた。
その姿は、やつれていて今にも倒れそうに綺羅には見えた。
綺羅の様子に気がついた雅俊もまた、綺羅が見つめる先を追った。
「え? おばさん?」
女性は雅俊に優しげに微笑むと、ゆっくりとこちらに近づいてきて門を開けた。
そして、「どうぞ」と綺羅たちを誘った。


