「松方先輩。やっとの想いが通じて必死みたいだな」


二人が消えたドアを見つめながら雅俊はなんとなく感想を述べる。


あからさまな真里への嫌味。


気の強い人だとは聞いていたが、正直全くの余裕もなくそんなことを言うなんて理想と違い、雅俊はちょっとショックだった。


「真里ちゃんもあんなの気にしないほうがいいよ。やっと想いが通じたから真里ちゃんの存在が不安になって言っただけだろうから」


「そうだね。私は別に気にしていないよ。だけど………やっぱり違うな………」


真里は気にはしていないようだが、納得はしていない感じだった。


「あのさ、前から聞きたかったんだけど………真里ちゃんや綺羅の口からよく出る『ミオ』って名前。一体誰のこと? それに………その子、死んでんの?」


「生きてるよ! 生きてる………はずだもん」


語尾が弱くなる真里を見て、雅俊はなんとなく自分が聞いてはいけないことを聞いてしまった気がした。


それと同時に、『ミオ』という人物は生きているのかも死んでいるのかもわからない状態なのだとわかった。





(これ以上は聞けないな………)


漠然と真里の雰囲気を見て、そのように思った雅俊だが、雅俊の思いとは別に真里は口を開いた。