特別、妙な形式も何もないごく普通の家。雅俊と仲がいいってことは、そんなに変わった奴でも暗い奴でもないだろう。
それなのに、いじめの対象になる。
どうして人は誰かをいじめなければいけないのだろうか?
綺羅自身は今までいじめにあったことなどない。
もちろん、嫌味などは何度か言われたけど、たかがそれぐらいだ。
聞き流せば済む程度のこと。
喧嘩ではなく、いじめ。
どうして、いじめをするのか、その理由をきちんと話せる奴なんてちゃんといるのだろうか?
気に入らないから、なんかムカつくから。
そんなものはいじめの理由になんてならない。
きちんと理由を言えない奴は、ただ単に自分の欲求を他者にいじめという形でぶつけているだけだ。
いじめられた者が何を思うかなんて、全く考えもせずに………。
考えているうちに、綺羅は腹が立ってきた。
そして、いつの間にか握りしめる拳に力を入れていた。
「吉備、いるかな?」
「知るか。そんなの、さっさと呼び鈴押して確かめれば済む話だろ」
不安な声で聞いてくる雅俊の言葉を綺羅は一蹴する。
だけど、綺羅の言ったことはそのとおりなので、雅俊はなんとも納得のいかない顔でゆっくりとインターフォンを押した。
押したすぐ後に、微かに聞こえるピンポーンという音。
だけど、その後に返答はない。
暫くの間、じっと待っていた雅俊は救いを求めるように綺羅を見た。


