「ゆ~びきりげんまん、うそついたらは~りせんぼん、の~ます!ゆ~びきった!」


歌が終わると勢いよく指を離す少女。


男の子は名残惜しげに自分に今まで絡んでいた小指を見つめる。


そんな男の子に少女はにこっと笑顔を向ける。


「僕も………深青にあげる」


そう言って、男の子は自分のポケットから小さな紙袋を取り出した。


「うわぁ。なに~? 開けていい?」


聞くまでもなく少女はすでに袋を開けかけていた。


少女は袋の中からそぉ~っと中のものを取り出す。






ちりりん。ちりん。






中からはピンク色の小さな鈴が軽やかで心地よい音色を奏でていた。


「かわいい~。ありがとう~」


少女は鈴を自分の目の高さまで掲げ、音を聞くために鳴らす。


自然と目を閉じ、音を聞いた後、少女は男の子にとびっきりの笑顔を向けた。





その笑顔を見ただけで男の子はとても満足だった。


少女と離れることはとても寂しい。


そのことには変わりない。


だけど、少女の笑顔………それが自分をどんなに幸せにしてくれるのかということを男の子は知っていた。