「そこの確認は取れているさ。なっ? 礼香」


「う、うん。光浦吉備は元は光情真の流れを汲む神社、光源(こうげん)神社の血を継いでいるの。大分と昔に神社は他家に渡ったのだけど、血筋の本筋は光浦家のものよ。世が世なら、光源神社を継いでいた宮司は光浦家だったのでしょうね」





 淡々と話す礼香とは対照的に、自分の知らない話を告げられていく雅俊は驚愕を隠せなかった。


 そんな雅俊に綺羅だけではなく、真里や慈までもが心配そうな顔をしていた。





 じっと黙り込む雅俊の変わりに綺羅が口を開く。


「つまり、光浦にはそういう力を使えるかもしれない素質があるということか………」


「ええ」





 自信があるのか、にっこりと微笑む礼香に綺羅は「わかった」と一言残し、立ち尽くす雅俊の腕を掴むと、部室を出て行こうとする。


「あ、あの、麻生くん? これからは………」


「お前たちはお前たちで調べればいい。俺たちは俺たちの見方で調べていくさ」


「・・・・・え?」


「心配するな。お前たちが思うような危険な真似はしないさ。だけど、俺たちはお前たちのようには割り切ったりはできないからな」





 それは、直接的な言葉ではなかった。


 だけど、その中に含まれている言葉の意味を礼香たちは気づく。


『お前たちとは一緒にはできない』と。





 礼香が凍り付いている姿も見ずに綺羅は雅俊を連れてさっさと出て行ってしまった。


 残ったのは綺羅たちについていけなかった真里と慈。そして、礼香と真之だった。