学校がある時は、ここ最近は必ずと言っていいほど綺羅の隣には礼香が居た。


 そのせいで、真里とこんな風に話すことも、ここ最近はなかった。


 久しぶりといえば、久しぶりだ。


「でも、和田さん。心配だよね~…。もう二週間だもん」


「そうだな………」





 それだけ答えると、綺羅はまた窓の外へと視線を向ける。


 視線の先にあるのは、あゆみが消えたとされる廊下だった。


 未だに壁にこびりついた血の模様。物騒なものだから、今は新しい壁紙を上から貼り付けている状態だ。


 それでも、綺羅にはその下に隠れている血の模様から何かしらを感じる気がしてならなかった。





 明らかに人害によるものとは思えなかった。


 でも、悪霊が人を襲うことはあっても、連れ去るなんてことがあるのだろうか?





 綺羅が引っかかるのはその部分だった。





 これまでも、何度か生徒が行方不明になることはあった。


 だけど、その場合はすぐに見つかった。


 行方不明になっている時の記憶は失っていたが………。


 なのに、今回だけはなぜ?


 もしかしたら………





 綺羅は複雑な表情をしている真里へと視線を向けた。