「和田さんがいなくなってから、もう二週間。とうとう、夏休みに突入しちゃったね~…」





 天文部の部室で頬杖をつきながら、真里は溜息を漏らした。


「そうだな………」





 窓際の壁にもたれながら、綺羅は腕を組み、じっと窓の外を見つめる。


「あれから、何か進展した? おもだっているのは宮城さんたちだから、私たちには情報が入ってこなくて」


「いや。俺もそれほどは知らないよ」


「え? でも、綺羅くんは宮城さんたちと一緒に行動してるんでしょ?」


「ああ。ただ、一緒に行動しているだけだ」





 綺羅の皮肉げな言葉に頬杖をついていた顔を少し上げる。


 そんな真里の姿を見て、綺羅は苦笑した。


「一緒に参加はさせてもらってるけど、肝心なことは教えてもらってないよ。今の段階でどれだけのことがわかっていて、どこまで進展しているのか」





 調べるからと誘われれば、ついていったが、それは捜査という名目だけで、実際のところ、礼香とのただの散歩。


 本当に調査する気があったのかさえあやしい。


「ふ~ん…。綺羅くんとこんな風に二人で話すのも久しぶりだよね~…」


「そうだな」





 しみじみと言う真里に、綺羅もまた同じようなことを思っていた。