足音が止まり、キ~…という音を立てながら、ゆっくりとドアは開く。


 顔を見せた男はあゆみがよく知った男だった。


 ここに連れて来られてから、毎日、この男は顔を見せる。





 男は震えるあゆみの姿を下から上へと舐めるように見ると、ニ~と気味の悪い笑みを浮かべる。


「ちゃんと、いい子にしていたんだね。ロープも異常ないし、逃げようとはしなかったんだね」





 上から目線で男はあゆみを蔑むように見てから、ゆっくりと彼女の顔に手を這わしてからゆっくりと指を首、胸へと下ろしていく。





 男性経験は何度かあったが、男のいやらしい手にあゆみは嫌悪感を抱く。


 だけど、それを表情に表してはいけない。


 それはこの長い監禁生活の中でプライドをずたずたに引き裂かれたあゆみが学んだことだった。





 男は自分に手を出すことはない。


 しかし、あゆみに屈辱を与えるためなのか、何度か今回のように体を触られたことはあった。


 嫌そうな顔をしたり、抵抗をすると、殴られる。


 その繰り返しに、あゆみは何をされても抵抗しないことを覚えた。


「どう? 僕にこんな風に触られる屈辱………」