これはなんだ?


 こいつの感情が俺に流れ込んできているのか?


 だけど、どうして俺はこんなに苦しくて切ないんだ。


 この気持ちは深青のことを想った時と同じ感情。


 この男は俺と同じように沙桐という人を想っているのか………





 そう気付くと、綺羅の胸はキュウ~と苦しくなってくる。


「この身が朽ち果てようとも、心は傍にか………」





 それは、綺羅が思いながらも否定していたこと。


 自分のこの気持ちだけはいつだって深青にあると。


 だけど、それはただの自分だけの中での自己満足なのではないかと思っていた。


 なのに、同じように想っている人がいるとわかると、なぜか自分の想いも肯定された気がした。





 そう思った瞬間、急に辺りが静かになってくる。


 それと同時に綺羅は自分の体がその場所から急激に離れていくのを感じた。





 もしかしたら、夢が終わるのかもしれない。


 そう思った途端、辺りの景色は真っ白へと変わっていった。