確かに生きている人間のほうが大切かもしれない。


 だけど、俺は………!











『人って死んだら魂が天に行くために、霊になるでしょ? 霊だからって、ほっておくのは間違ってると思うんだ。だから、私は少しでもその手助けをするの。お父さんのように』











 あの時、優しく微笑みながらそう言っていた深青の記憶が綺羅の脳裏を駆け巡る。





 宮城の言っていることは、一理あるかもしれない。


 所詮、深青の言っていたことは理想の話なのかもしれない。


 だけど、俺はそれでも深青の掲げた理想のほうを信じたいんだ。


 そして、俺もそれが正しいと思うから。





 綺羅はバッと席を立った。


「綺羅くん?」





 急に立ち上がった綺羅に真里は不安気に声をかける。


 綺羅は真里に笑みを浮かべた後、まっすぐに翔へと視線を向けた。


「俺も、一緒に参加させてもらってもいいですか? 宮城たちと」


「それはもちろん。お前には手伝ってもらうつもりだよ。そのために、ああいう形で彼女たちと出会わせたのだから」





 翔のその言葉に綺羅は頭を下げる。


「ありがとうございます」





 もう、この力は使わないでおこう。


 そう思っていたのに。





 礼香たちの霊に対する考えの違いに納得できないでいる綺羅は少しでも近くに居て、霊たちを救う方法を綺羅は見つけ出したいと思っていた。