天文部の部室。





 にっこりと微笑む礼香と無表情の真之を前に、綺羅たち四人は手持ち無沙汰にお互いの顔を見合わせる。


 その間で一人、全てを知っている翔だけが暢気にコーヒーを飲んでいた。


「あの~…、龍野先輩? 一体、どういうことか最初から教えてもらえませんか?」





 きっと、今すぐにでも喚き散らしたいところだろうが、翔がいる手前、なんとか冷静を保ちながら慈は翔に尋ねた。


「だから、綺羅たちには話したけど、学校側としてもね、この事件が起こる前からいろいろと奇妙な事件が起こるのでプロに頼んでいたわけだ」





 笑みを浮かべながら、スラッと言ってのける翔に綺羅は呆れた。


 それなら、わざわざ自分たちに調査を頼む必要なんてなかったのだ。


 それを、わざわざ自分たちに依頼してきた翔。


「先輩。それって、俺たちは必要なかったってことじゃないんですか?」


「あ、気づいた?」





 悪びれるそぶりもなくあっさりと言いのける翔に綺羅は深く息を吐いた。


「ねえねえ、それじゃ、宮城さんも霊と闘ったりするわけ?」





 綺羅たちがこの状況に戸惑っている中、突然、柏葉は身を乗り出して前に座っている礼香へと体を近づける。


「え、ええ………」





 礼香はなぜか綺羅へと視線を向けて軽く笑う。