夕暮れの校舎の中。綺羅と真里は二人して校内をくまなく点検しながら歩いていく。


「ハァ~…、これじゃ、キリがないね………。どうする? 結界張って一気に片付ける?」





 真里は立ち止まると辺りを見渡す。


 前を歩く綺羅も立ち止まると、ゆっくりと振り返り顔を横に振った。


「いや。今はまだ人がいるし、下手に力は使わないほうがいいだろう」





 綺羅のその言葉に、真里は肩を落とす。


「そうだね………。見られるわけにはいかないもんね………。でも、高等部だけでもかなりの敷地なのに、清涼学園の幼稚舎から大学まですべての敷地内を探すなんて」





 いつもは文句なんて一言も言わない真里だが、さすがにその広さでは愚痴の一つも出てしまう。


「そうだな………。こんな風に闇雲に探し回るよりも、真里の結界で霊力を察知してもらうほうが、得策ではあるよな………」





 暫しの間、立ちつくし考え込む綺羅。


 そして、いい案が思いついたのか綺羅は顎に手を置いていた顔を上げた。


「よしっ。今から帰って、夜にもう一度来よう。鍵とかの問題もあるから、龍野先輩に頼んで。夜なら人もいないし、気にせず力を使うこともできる」


「そ、そうだね!」





 綺羅の言葉に、真里はナイスアイディアとばかりに何回も頷く。


「じゃあ、夜にもう一度仕切りなおしだ」


「あ……、でも、慈と柏葉くんはどうする?」





 真里に二人の名前を出されて、綺羅は今まで忘れていた二人の存在を思い出す。