いつもはあまり興味を示さない綺羅が、聞いてくることに柏葉はなぜか誇らしげな表情を向ける。


「綺羅、お前さ。昨日、和田あゆみって子に告白されなかった?」


「和田? されたけど………。それが、何?」


「その返事からすると、断ったってことだ」





 話の流れ的に、どうやら柏葉が聞いた自分の話はそのことなのだと感じた綺羅は途端に聞く気が失せる。





 こんな話なら、いつもと変わらない話じゃないか。


「で、その和田あゆみ。昨日から行方不明なんだって」


「ふ~ん」





 聞く気が失せた綺羅はナマ返事をしていたが、突然足を止めた。


「えっ? 今、なんて?」


「だから、お前に昨日告白してふられた和田あゆみが行方不明なんだって」





 綺羅は柏葉の言葉を頭の中で反芻していた。





 行方不明…だって?






 思いもよらないことに綺羅は半ば呆然としながら、周囲の自分に対しての奇異な視線の意味を納得した。





 行方不明という自分の日常とは全く違うその言葉に呆然としていただけの綺羅だが、柏葉はそんな綺羅を見て、ポンッと肩を叩く。