この手紙には何が書かれているのだろうか。


告白の呼び出し?


それなら、すぐにけりがつくのでいいが、一番問題なのは、ただ気持ちを伝えたいだけだというような内容の手紙。


その手の手紙を何度かもらったのだが、その時の一人が返事を求めていなかったのでほっていたら、いつの間にか綺羅はその女の子とつきあっていることになっていた。


返事を求められなかったから返事をしなかっただけのことなのだが、それを告白を受けたことに勝手に解釈されてしまっていたのだ。


そんな苦い思い出があるため、綺羅はそういう手紙も断るように心がけているのだが、返事を求めていない相手に返事を返すというのは結構疲れるものだ。





もう一度溜息を吐いていると、綺羅は自分がやけに見られていることに気づく。


ただ、ラブレターをもらったことへの好奇心からの視線かとも思ったのだが、険しい顔で自分のことを見てくる周囲の視線にいつもとは違うものが含まれているように見えた。


綺羅が視線を向けると、慌てたように視線を逸らし、逃げるかのように去っていってしまう。


まるで、見てはいけないものでも見てしまったような態度に、綺羅はなんとなく腹が立ってくる。





なんだ?


こいつら………。


「よっ、綺羅!」





 怪訝な表情で周囲を見渡していた綺羅の肩を気安く叩いてくる奴。


そんな相手は一人しかいない。