気だるげに欠伸をしながら、綺羅は自分の下駄箱から上履きを取り出し、無造作に履き替え、スニーカーを自分の下駄箱へと入れる。





 その時に見えた上履きを取りだす時には気づかなかった一枚の白い封筒。


それを見た途端、綺羅は大きく溜息を吐いた。





 そのまま下駄箱に入れておくわけにもいかずに、綺羅は仕方なく封筒を手に持つと裏を向けて名前を確認する。





 『三浦里美』





 誰?





 名前を見たところで、誰かもわからない聞いたこともない。


綺羅はますます憂鬱になった。


「きゃあ、手に持ってるよ~」





 綺羅は声がしたほうを見る。


すると、三人の女子がきゃあきゃあと騒ぎながら、こちらを見ていた。


三人は綺羅が自分たちのほうを見ていることに気づくと、「きゃあ、見つかっちゃったよ~」などと騒ぎながら走り去っていく。





 あの中の一人か………。





 綺羅は悟ったように、『三浦里美』という名をもう一度見る。





 わざわざ、俺が手紙を見るところを確認するぐらいなら、直接言いにくればいいのに。





綺羅は気が重いままにただ入れられていたことで受け取ってしまったラブレターを仕方なく自分の制服のポケットに押し込んだ。