元はと言えば、霊を引き寄せやすい位置に建てられているプレハブに霊が集まらないようにするのが綺羅たちの当初の目的だった。


 そのために、急いで発足した部活。


 だけど、いつの間にか、綺羅たちの力を偶然知ってしまった慈はそれを有効活用できるようにと、霊の退治の仕事を持ってくるようになってしまった。


「俺、初めて真里と一緒に霊を退治した時、自分でもやれるんだって自分でちょっと驕ってたのかもしれない。だから、相良が悪霊退治の仕事を持ってきても文句を言いながらも受けていた。だけど、この前自分の力が敵わない敵が現れて、思い出したんだ。自分はそれほど強い力を持っているわけじゃないって」


「綺羅くん………」





 複雑な表情で見てくる真里に綺羅はフッと軽く笑った。


「別に、真里に強制するわけじゃないんだ。真里がそれでもしたいと思ってるのなら、俺も付き合うよ。ただ、もう一度じっくりと考えてほしいんだ。自分たちがこの力をこのまま使い続けることがいいことなのか」


「そう……だね………」





 無意識のうちに綺羅と真里は一緒にプレハブのことを見つめていた。











「あの建物って何かあるの?」





 二人だけの空間の中に、突然聞こえてきたその声に綺羅と真里はビクッと後ろを振り返った。


「お前………」