「あ、あった、あった」





 真里が鞄から取り出したものは生徒手帳だった。


 入学したその日に全員に支給されたものだが、綺羅は今、それがどこにあるのか首を傾げた。


「そんなもの、持ち歩いている奴いるんだな」


「え~? だって、学生証とかも入ってるじゃない。だから、いろいろと必要でしょ? みんな、持ってると思うんだけど………綺羅くん、持ってないの?」





 聞かれた綺羅は真里から視線を逸らした。


「別に家にはあると思うけど………。それに、学生証は財布に入れてるし」


「あ、そっか。その手もあったね。……って、そんなことはどうでもよかったよね。え~っと、部の発足について部の発足について………」





 生徒手帳をめくっていっている真里の手を見ながら、綺羅はじっと答えを待つ。





 それにしても、生徒手帳にそんなことが書いてあるのか?





 疑問に思いながらも、綺羅は真里が探し出すのをじっと待っていた。


「あ、あった!」


「えっ!? マジで?」


「うん! ん? ちょっと、待って。マジでって綺羅くん、生徒手帳にそんなこと書いてないと思ってたの?」


「あ…、まあ。規則とかそういうのが書いてあるというのは知ってたけど………」


「結構、いろいろと書いてあるんだよ。今度、じっくりと読んでみたらいいよ」





 真里はうれしそうに綺羅に教えようとする。