「―ねぇ、さっき女の子からクッキーもらってたでしょ」

しんと静まりかえった図書館の横にある司書室。やたらと響くプリントを纏めるホチキスの音が、この空間に私達しか居ないことをそっと告げる。

「あらー瞳(ヒトミ)見てたのー?」

あっけらかんと答える彼に胸の奥がきりきり軋む。

「通りすがりにね」
ホチキスを机の上に置き、そっと歩を寄せる。