僕たちは回り続ける

休み時間を待って、梓は駿に駆け寄った。


「ねぇ」


彼を囲む女子の視線が痛い。駿は顔をあげてその中から出てくると「何?」と尋ねた。近づくと整った顔立ちがくっきりとして、ドキリとした。おずおずとなかなか用件を言い出せないまま、数分が過ぎた。


「用事がないなら、呼ばないでほしいんだけど」

「ごめん……。用事は、あるんだけどココでは……ちょっと」

「何?いきなり告白とか?嫌いなんだよね、顔だけ恋愛」


ざわりと周囲が騒ぐ。そりゃそうだ、女子たちはその顔だけで寄ってきたのだから。


「そんなんじゃなくて……私と会ったことない?」

「やっぱナンパ?」

「違う」

彼ではないのだろうか。でも、他人の空似でここまで似るとは思えない。証拠になる秘密のほくろだとかそんなものがないので、確かにこれじゃナンパのようだが。


イメージと違う生意気で毒舌な態度に少し落胆しつつ、梓は席に着いた。