隣人高校生

そんな手を今度はギュッと両手で包まれた。


「っ」
「わ、冷えてますね。大丈夫ですか?ついでに買い物もしてきて今日、鍋をしようと思ってたんです。……けど、一緒にするつもりだった友達はいきなり都合が悪くなったみたいで…」



俺、1人なんです。だから晩御飯、ウチで食べませんか。



 晩御飯までにはまだ早い時間帯。
 これは暗に「上がれ」と言ってんの?
 男1人の家に女1人で…?
 いや、待て待て待て待て…。お鍋なんて独り暮らししてたらそんな食べれるものやないし…
 なんたって寒いし…



「紅茶くらいですけど、出しますよ。中、入りませんか?寒いでしょ。」


「(・・・・・)」



 ニコッと笑った顔にクリーンヒットオォオォ

 無理です麻美さん、あたしなんかが手におえる人やあらへん。
 普通の顔の男の人にも免疫ついてないあたしはどないしたらええんですか。






まだ触れられたままの手を見て、どんどん顔の辺りがホカホカしてくるのがわかる。


「葎さん。行きましょう。晩御飯まで一緒にお話でもしません?」

 ちょっと待って

 あなたホストかなんかですか。

 あれ、勉強は?君、受験生や言うてましたよね?

 新手のナンパですか、いや、うちにナンパするんはおかしいな。



そう思っている間にもあたしの体は押されに押され、美少年の部屋の中に入っていた。





 え、ホンマ待って!マジ無理やて!


そしてニコリと笑う美少年がその時、本物の悪魔に見えた瞬間でもあった。