未礼が見つかったという連絡をうけ、
私と桧周たちは、急いで我が家に戻った。



家の者に連れられ、未礼は我が家に帰ってきた。





「…ただいまぁ…」


未礼は、小声で申し訳なさそうに腰をかがめて、玄関に入ってきた。



見るかぎり、どうやら無事のようだ。



「一体今までどこに行っていたのだ!」


「…えーっと…」

私の問いに、未礼は言葉を詰まらせた。




「とっとと答えな!」

釈屋久が、未礼の前に歩みより、未礼の頭にゲンコツを落とした。

「っった!!」

未礼は、頭をおさえてうずくまる。


私は思わずあっけにとられた。



「何で連絡の一つも入れないんだ!
あたしたちが、いや、…何よりこの子がどれだけ心配したと思ってる?!」



この子、とは私のことのようだ。

未礼は、頭を押さえながら、私を見上げた。


上目遣いの瞳は、涙がにじんでいる。

ゲンコツがそうとう痛かったのだろう。


「…ごめんなさい。ちゃんと説明する…」


「ケガは?」


「全然元気だよ」


「無事ならば良いのだ」



ほんとうに、良かった。


それ以上の言葉など浮かばなかった。


長い一日で、私はようやく安堵のため息をついた。


「未礼、とにかく中へ…」


「啓志郎くん!!」

涙目の未礼の瞳がハッと見開いた。


「どうしたのその手!!」

叫びながら私の手元に突進してきた。


私の左手の平には、包帯が巻かれていた。


先程のクラブで手当を受けたのだ。

幸い、血の量ほど深い傷ではなく、縫うほどでもないということだ。


「ドジを踏んだだけだ。たいしたことはない」


未礼は、いたわるようにそっと私の手をとった。


うつむいていたから表情は見てとれなかったが、手がふるえていた。



その姿が直視できず、私は目を背けた。


そして、玄関の外の人影を睨みつけた。


「いつまでもそんな所におらず、入ってきたらどうだ」



私の声に反応した、外の人影は、ドサリと何か重たい荷物を地面におろした。