我妻教育

男3人、女2人の若者のグループが、
タバコとグラスをかたむけソファーで談笑していた。


テーブルの上には、若者の投げ出された足やら、酒の瓶が乱雑に置かれている。




「ガキは引っこんでろよ」

どすの利いた声で桧周が吐き捨てるように言った。




桧周が先頭になって、ソファーに座る若者たちの前に立った。



若者たちが、気づいて顔を向ける。


一瞬にして場の空気に緊張感が走った。



「…何だ、てめぇら」

若者の男が1人立ち上がり、桧周を睨みあげる。

金髪にピアス、いかにも、といった輩だ。



ひるまない桧周に、もう1人、同じように柄の悪い男が立ち上がった。



赤毛の桧周も柄の悪さでは負けていないが。
大柄な分、むしろ迫力がある。
男2人に睨まれたくらいではびくともしていない。


女2人は、人ごとのように笑っている。




「オレらは、三津鉢に用があんだよ」


桧周は、1人悠長にソファーに座ったままの男を睨みつけた。

おそらくこの男がこの場のリーダーで間違いない。



未礼をつけ狙う元見合い相手。
三津鉢物産の御曹司だ。




派手な化粧をし、下着姿のような露出の激しい身なりの女2人、
チンピラのような男2人を従えつつも、
三津鉢本人は、いたって真面目風の大学生だった。


黒髪に、黒ぶちの眼鏡。

身なりも派手さはなく実にシンプルな装いだったが、
痩せ型で、ギスギスとした雰囲気をまとった男だった。


本人無意識なのだろうか、投げ出すようにソファーに座り、貧乏揺すりをしている。

神経質さを増長させているように見えた。



人を見下したように据わった目つきでタバコをふかす姿に、育ちの良さは垣間見れない。



さらに、周囲にもまだ仲間がいたようで、
我々を取り巻くように集まりはじめた。





「お前ら一体俺に何の用だよ。
うぜぇんだよ、コソコソ付け回しやがってよ」

言いながら、三津鉢が、のっそりと立ち上がった。

いら立った様子でタバコを落とし、靴で火を消した。