「初日の出。昇りだすと早いですわね」


「来てよかった」


「来年も来れるよネ」


「もちろんだ」


「このまま初詣に行きましょうか」



「ああ」

私は、マフラーに顎をうずめて、瞳を閉じた。



目を開け、もう一度、太陽を拝んだ。




さあ、これからだ。


新しい一年がはじまる。









私は、松園寺啓志郎。




松園寺家当主・松葉グループの代表となるべき男。






見上げるものなど何もない。




だが、見下ろすにはまだ早い。




威風堂々と、そして心は正しくありたい。




私は、太陽にむかって手をのばした。







 
         ~ end ~