我妻教育

クリスマスイヴ。

平穏に24日をむかえた。

水面下で何があろうとも、表面は淡々と穏やかな日々だった。



昼間。

私は居間でクリスマスの飾りつけ作業に取りかかりながら、ときおり縁側のガラス戸から庭を眺めていた。


未礼は、朝から台所にこもっている。

たまに様子を見に伺うと、こちらが気後れしてしまいそうなほど、手のこんだ料理を作ってくれている。

甘い香りも漂う。
ケーキまで手作りしているようだ。



未礼が居間に戻ってくる前に、作業を終わらせてしまわなければ。


私は、庭にむかって一礼してから、縁側の障子を閉め、居間の飾りつけに集中した。





数年ぶりに納戸から出してきたクリスマスツリーに電源を入れる。


それなりにクリスマスらしく飾られた室内に、豪華なディナーが並んだ。


「素晴らしいな。これがすべて手作りか」


テーブルの上には、まるで高級ホテルディナーを思わせるような鮮やかなオードブルにメインの肉料理。

料理自体もさることながら、盛りつけも実にきれいで見惚れた。


「クリスマスといえば、メインは、チキンとローストビーフでしょ♪
どう?美味しそうでしょ?お腹すいたでしょ?さぁ、食べよ!」


私たちはテーブルに向かい合った。

まずは乾杯してから、未礼はチキンを切り分け皿に盛り、私の前に置いた。


「美味い!家庭の手作りでこれほどのものが食べられるとは…。さすがだな」


今までシェフが作った料理しか食べたことがなかった私にとって、未礼が作る手料理は、いつも尊敬に値している。


「よかった!」

未礼は、私が食べる姿を見ながら、満足げに微笑んだ。




「…あ~、もうおなかいっぱい!!」


テーブルに見事に並んだディナーは、さすがに2人だけでは食べきれはしなかったが、大変満足であった。


「ケーキはもう少しあとにしようか」

未礼は、腹をさすった。


私は、うなずき、

「ならば、少し縁側に出ないか?少し話があるのだ」
と切り出した。