店の中は、中世フランスの貴族の家を思わせるような高貴な雰囲気に包まれ、奥の暖炉の近くでは弦楽三重奏の生演奏つき。
「お待ち致しておりました。柳木様…どうぞこちらへ。」
と支配人らしき年輩の男性に奥の個室へ案内された。
席につくと颯斗さんは…
「料理はいつもので…。」
ーーいつものって
「かしこまりました。」
その男性が下がりアタシはこう言った。
「颯斗さん…よくこんなとこに女性をデートに連れて来るんですか」
ーー嫌な女
「まさか…亜耶さんが初めてですよ。」
ーー嘘〜っ
「でも…いつもので…って。」
「あ…あれ。…ここはいつも家族で利用するんですよ。…親父はIT関係の会社をやってて…その関係でここのオーナーを知っていて…だからここのオーナーとは家族ぐるみの付き合いが長いんですよ。」
「そうなんですね。…変なこと言ってすみませんでした。」

