違う。そういうわけじゃない。

そう言いたかったけど言えなかった。


独りは怖いから


「可愛い子。孤独が嫌で泣くなんて」

「だって……」



「まあ、キミを孤独にしたのは僕だけどね」

頬に触れた手はひんやりと冷たい。

唐突なことにビクリとした。

「そんなに怯える必要なんてないよ。誰もとって喰ったりなんてしないから」

大きく開いた胸元を少年がなぞる。

引き攣れた皮膚に触れるのがわかった。

瞬間、少年の表情が刹那歪む。

「僕のエルに傷を付けたヤツは殺したから、安心して」

「…殺し、た…?」

「うん」

にやりとシニカルに笑う。


「キミの父親を、殺して来たんだよ」