有罪モラトリアム



妙に意識してしまって、彼は話しかけてきてくれましたが、
あまり会話が続きませんでした。


そして電車は目的場所に着いて、
デパートまで歩きました。


特に買う物も決まってないので、
なんとなくブラブラと歩いていました。


「なにか欲しい物ありましたか?」


「う~ん・・・。」


欲しい物はあったけど、カバンとか、靴とか・・・。
でも自分からなかなか言い出せませんでした。


レディースフロアを歩いているとき、彼が足を止めました。



「あ。あのワンピース、ユキさんに似合うかも。」



ディスプレイされていてのは、
春物の白いふわふわのワンピース。
裾がレースになってて、とても可愛らしいデザインでした。


「に、似合うかな・・・?」


「ちょっと着てみてください。」


彼に促されて、着てみることに。


彼は売り場の人に声をかけて、
ディスプレイされていたものと同じ物を
私に渡してくれました。


試着室で少しドキドキしながら着替えました。