マンネリとかすれ違いとか、そんな言葉が適切なのかはわからないけど、でも、そんな感じだった。


時が過ぎてしまえば由美姉の死に対する受け止め方も変わってきて、悲しみなんて否応なしに和らいでしまうから。


慣れって怖くて、時にはサチのことを性欲処理のようにしか考えなかったこともあったし、由美姉に似たお節介がマジでウザいとも感じるようになっていた。


もちろん仕事が忙しすぎて、勝手にヨシくんの右腕みたいな扱いをされてたから、だから余計にサチに苛立ったりもしたんだけど。



『…龍司、あたしのことどう思ってる?』


好きだよ、と言うことさえも億劫だった。


煙草も酒も嫌に不味くて、おまけにサチはわかりきってること聞いてきて、じゃあ一体どうして欲しいんだよ、って。


サチの考えてることなんて当たり前だけどわかんなかったし、自分のことでいっぱいいっぱいだったんだ。



『もう、疲れたよ。』


『…俺も。』


『距離、置こう?』


『ん。』


短いだけの、そんな台詞だったっけ。


確かに彼女のことは大事だったけど、それが当たり前すぎて、傍に居過ぎて何も気付けなかったんだ。


もっと言えば、考えてるほど余裕もなかったんだけど。







子供が出来たって聞いたのは、距離を置いて3ヶ月後くらいだったかな。


6週目って、それって俺の子じゃねぇじゃん、って思ったのが、一番最初だったのかもしれない。


それでも離れてみて、どれほどサチが大事だったかも気付いたし、多分、家族とかそんなのが恋しかったりもしたんだと思う。



『大丈夫、俺の子として育てよう。』